朝の散歩は気持ちがいい。
人はルーティンで物事を行うことで
毎日精神的に安定的に過ごしていける面があると同時に、
日常から脱却して変化を求めてリフレッシュしていくという面を
バランスよく過ごすことが大切である。
私の散歩も通常は荻窪の自宅の周りを短時間でという制約があり、
草花の変化は多少あるとしても見飽きた光景ばかりである。
それは、自身の精神的・身体的健康に
多大な貢献をしているとの日常の安心感はあるものの、
やはり変化の乏しさには正直退屈感は否めない。
そんな折、東京弁護士会法友会の政策合宿が
1泊2日の日程で奥多摩清流の宿「おくたま路」にて行われた。
都会を離れた渓流に近い知らない道と景色を探索することは、
いつもの早朝散歩とは趣が異なり、この上ない楽しみである。
朝6時ころに、そっと床を抜け出しロビーに出るとホテルの方に出会う。
「おはようございます」との声掛けもさわやか。
ホテルの夜勤勤務が終わり帰宅するところだという。
「散歩に出たいのですが・・・」というと、コースを親切に教えてくれた。
そして「ちょっとわかりにくいから」などと言いながら、
紙をもって来て略図を書き、「迷ったら電話して」といって携帯番号も記してくれた。
この略図を頼りに出発、「好文橋」にかかる。
上流をのぞむと清流の宿「おくたま路」が見える。
橋の上で写真を撮っていると、犬の散歩の女性と出会ったので、
お願いして自分の写真を写してもらった。
橋を渡ると、「好文橋のいわれ」という立札がある。
「好文」とは、梅の別名。
そういえば地名も「青梅」という通り、梅林が多い。
中国の故事に、「文を好めば即ち梅開き、学を廃せば即ち梅開かず」とあり、
寒さに耐えて咲く梅のように、辛さに堪えて頑張れば成果が出るという意味という。
そこから略図にしたがって、奥多摩橋まで1時間近く歩いた。
奥多摩橋はまた雄大な橋で、竣工は昭和14年、
水面から33メートル、橋長176メートル、アーチの美しさが特徴だそうだが、
残念ながら橋の上からはこのアーチは望めない。
さらに巡り歩いて、約1時間半の散歩を楽しむ。
切り立った崖あり、住宅地の開発もあり、大きな木々や梅林もあり、
清流を足下に観る風景と途中で出会う散歩の人たちの気持ちの良い挨拶に、
日常の杉並散策とは違った思いと楽しさを味わいながら
朝食開始時間の7時半ころに帰還した。
一日の始まりの席で、ワイワイガヤガヤと朝の散歩を自慢しながら
みんなと食べた朝食はことさらおいしく爽快でした。