9月16日初日の月組東京公演はあっという間に10月16日の千秋楽を迎えた。
私は10月に入ってからようやく劇場に足を運ぶことが出来たが、最近の宝塚は本当に回転が速く、一公演が終わるとその余韻に浸る間もなく、次の公演が来る。8月~9月の大作「ファントム」については、食事会を企画し、その参加者の皆さんとメッセージ集などの作成をしていたら、次の公演。
また、花組の地方公演と青年館も10月~11月とやってくる。その頃にはもう雪組公演「仮面の男」である。
もう少し余裕をもって全組観劇したいと思っているが、そのあたりの作品と公演期間の調整ができないものか、歌劇団の方々にお願いしたいところである。
余談はさておき、「アルジェの男」は、月組「霧矢大夢」と「蒼乃夕妃」のコンビ。霧矢の演ずる「ジュリアン」に3人の女性が絡む。アルジェでの孤児から犯罪者集団にいたころから心を寄せるサビーヌ(蒼乃夕妃)、野望を抱くジュリアンを取り立ててくれた総督の娘(彩星りおん)、出世の階段を駆け上ろうとするジュリアンに協力し盲目の姪(花陽みら)を結婚させようとする侯爵夫人(邦なつき)。
愛をテーマとする宝塚で、愛を逆手にとって上昇志向を目指す青年に最後に待っていたのは、挫折とその中でのサビーヌの愛。
しかしそれまでに払った代償はあまりの多い、とこんな筋立てだ。
そんな、主人公は、宝塚の男役トップとしてのスター性のほかに、何とも言えぬ現実世界での男のあくなき権力欲や出世欲を漂わせながら、カッコよさをみせなければならない役どころだ。
言ってみれば、「ほっしゃん」や「ちゃる」のような男くささと、スター性と、カッコよさを持ち合わせてほしいと願う役柄だ。
霧矢も一生懸命演じているが、最近はこのような雰囲気を漂わせることのできる男役が少なくなったような気がするのは私だけであろうか。