宝塚雪組東京公演「仮面の男」
10月28日 シゲニー・イートン
10月21日初日。11月20日まで。
ルイ14世に双子の弟がいてそれが入れ替わるという設定。映画化もされたアレクサンドル・デュマ原作の小説の舞台化。音月桂が二役。
上京した作品は、場面のカットも含めて、宝塚大劇場とずいぶん変わったと聞いた。私は大劇場を観ていないので何とも言えないが、それでも水戸黄門様が出てくるのは必要か、と考えてしまう。
さて、フランス宮廷物とフランス革命ものは、宮廷の華やかさと、時代背景の物語性の豊かさによって宝塚の舞台には格好の題材を提供し続けてくれている。いろいろ再演を重ね宝塚の代名詞になっている「ベルばら」を筆頭として、時代や活躍の舞台が重なりながら、少しづつ時代を前後したりする「スカーレットピンパーネル」や「二都物語」など、記憶に残る作品も多い。
「仮面の男」はそのような意味では、宮廷の華やかさが薄く、宝塚的にはどう料理するのか難しいところもある作品である。しかし、今夏、帝劇で三銃士が上演されたことや、ディカプリオの映画での知名度もあって、親しみやすさをフォローされた側面はあるだろう。
音月も二役を安定してこなしている。舞羽美海とのコンビも定着してきた。
共にルイ13世につかえた三銃士とダルタニアン。ルイ14世に対しては銃士隊の隊長として仕えるダルタニアンと、野に下った三銃士。一度はたもとを分かつが、ダルタニアンの目的を知って最後は分かり合えるという流れだが、コンスタンスの死に対する復讐心など、ダルタニアンの苦悩と共に、ストーリーの中で丁寧に描いた方が、説得力が増すように感じたがどうだろうか。ルイ14世の横暴乱脈な生活ぶりもより一層そこに重ね合わせる展開もあるだろう。なかなかの意欲作、試みではあるのだろうが、続いて元気なショーがあるだけに、お芝居はもっと物語性と人物のキャラクターを大切にした演出がほしかった。
ショーは、ROYAL STRAIGHT FLASH。元気なダンスが見ているものを勇気づけます。組長のながさん、本当に元気にはじけるように踊っておられました。雪組の皆さん、元気を!勇気を!ありがとう。
なお、劇場ロビーでは、この作品のための「ジューシー・スリー」というデザートが販売されていました。三銃士に絡めたこの命名に乾杯。
ついでに8月、瀬奈じゅん出演の帝劇の三銃士を観てきましたが、その時の帝劇前の写真も出します。
「一人はみんなのために」「みんなは一人のために」
ところで山口祐一郎の存在感はやはりたいしたもの。「帝劇の怪人」で皇居のお濠の地下を縫って、皇居の森に出入りしていそうな雰囲気だ。