もとNHKの作品などを手がけていた映画監督池谷薫氏が、
2002年に数々の国際映画賞を受賞したドキュメンタリー映画、
「延安の娘」を見る。
家内の友人とつながりがあって、
私が東弁の副会長時代を退任した翌年、
東京弁護士会の機関誌LIBRAのインタビュー記事でも登場をお願いしたことがある。
そのときは、ちょうど第二作「蟻の兵隊」の上演中だった。
なお、今は、東日本大震災に被災した孤老を取材した
「先祖になる」という第三作が公開されている。
「延安の娘」は、実の親を捜す農村の娘を追うドキュメンタリーである。
養親に育てられた娘は、
実の親が、中国の文化大革命時代に共産党の政策によって、
農村に下放させられた青年であることを知る。
彼らは親元から離れ、北京幹部の厳しい指導監督のもと、
貧しい農村で厳しい農業労働従事させられ、
もちろん恋愛など御法度であり、処罰の対象であった。
そんな中、産婆さんの命を救う気持ちが、娘の命を助け、養親の元で育つ。
池谷氏は中国での取材活動の中で多くのこのような悲劇があることを知り、
同じ学校から集団で下放させられた同窓生の過去を追いながら
その後の父親と娘の現在に迫る。
延安の農村の娘の養父母の家、
娘が結婚して嫁ぎいだ先の家、
北京の父親の家、
当時下放青年に重労働の処分を下した北京幹部の家、
同窓会の集まり、
そこでの本音の激論。
それらをフィルムが捉えていく。
息詰まる展開である。
当時の中国でよくここまでのドキュメンタリーが撮れたものだというのも
また驚きに近い感想である。
一見の価値あり。
ご協力いただいたインタビュー記事
http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2006_10/p12p13.pdf