昨年は、大地震、津波、原発事故と大変な年でした。復興へ向けた新しい年としたいと多くの方が念じていることと思います。しかし原発事故による放射能汚染との戦いは、次世代へと続く長い道のりです。加えて、少子高齢化、巨額の財政赤字、エネルギー政策、外交政策、この国の将来は課題山積みです。この国難にあたって、政治には、一日も早く戦略的方向性を確定し、全力を挙げてそれを実行する体制をお願いしたいと思います。
一方、国民の側も業界の利益だけを政治に要求したりすることは抑え、耳触りのいい目先の利益誘導で投票する愚から脱却し、賢さ、冷静さ、我慢強さを持たねばなりません。
昨年、ブータンの国王夫妻が来日しました。幸福に対する国王の考え方に共感をおぼえられた方も多かったのではないでしょうか。
なにが幸せかということは、その人の感じ方であり、なかなか難しい問題です。
昨年ご家族・ご親族をなくされた方からの多くの喪中のあいさつもいただきました。本当に大切な人を失って、つらい日々を送られている方もおられれば、天寿を全うされ幸せな日々を送られた人を穏やかに見送られた方もおられるでしょう。
きびしい社会環境下にあっても、協力し、助け合い、つつましやかな家庭生活の中で人生の幸福を実感されている方もおられれば、経済的には豊かであるにもかかわらず、考え方の違いや、家族のことで悩まれている方もおられるでしょう。
こんな時、それぞれの方々の喜びを思う一方で、その方たちの涙も受け止めながら、私は上を向いて歩きたいと思います。空を見つめ上を向いて歩きながらこの新しい年を生きていきたいと思います。仕事を通じ依頼者のためになること、社会的な活動を通じ少しでも世の中のためになれるよう、歩き続けます。
そして身近な人たち、その活動を通して交わりあった方々と、ともに「喜」び、ともに「怒」り、ともに「哀」しみ、ともに「楽」しむことが出来たら、それは至福であると思います。どうか、皆様も上を向いて歩きながら、幸せな一年をお送りください。
2012年1月 弁護士 伊藤 茂昭