2月10日金曜日、平成24年4月から二年間の日弁連のトップを決める、会長選挙の開票が行われました。
すでに一般紙でも報道され、日弁連のホームページでもアップされている通り、
当日の仮集計では
山岸 憲司(東弁会員)7958票
宇都宮健児(東弁会員)6608票
尾崎 純理(二弁会員)3318票
森川 文人(二弁会員)1805票
という結果でした。
弁護士以外の方からはもちろん、選挙の仕組みを知らない若い弁護士からも、「なぜ1位の山岸さんが、当選ではないのですか?」
と聞かれます。
「全国に52ある弁護士会のうち、最低3分の1以上である18単位会で1位を獲得しないと、当選できないので、再投票になるのです。」
と答えると、
「では今度は、上位の二人の決選投票で上位の人が当選ですか?」
と聞かれますので、
「いえいえ、二人の決選投票でも、また得票上位者が18以上取れないと、最初からやり直しです。再選挙を公示し、もう一度立候補を受け付けて、公聴会も開いてやり直すのです。」
と答えると、
「へぇー、エンドレスですね。暇というか、とても弁護士先生が集まって考えて決めた制度と思えませんね」
「はい、私もそう思いますが・・・」
さて、この制度によって、山岸候補と宇都宮候補の一騎打ちの再投票となりました。
再投票は、二年前の山本剛嗣候補と宇都宮現会長が戦った時に続いて二回目です。
あの時の選挙は、一回目で山本候補が得票数で上回ったものの、単位会数で及ばず、決戦では宇都宮候補に雪崩現象が起きて、山本候補が敗北しました。
雪崩現象は、一回戦の結果を見て、この選挙をエンドレスにせず、何としても決着させなければならないとの、会員の知恵が働き、それが山本候補に不利に作用したと思います。
賢い会員は「エンドレス」を終わらせなければならないと考えました。地方に弱い山本候補が18をクリアするのは至難の業だ。それなら、宇都宮票を伸ばさせるしかない。これが、未知数のものへの期待とあいまって、宇都宮候補への雪崩現象が起きたのだと思っています。
これに対して、今回宇都宮候補は現職の実績を訴え、やり残したことをさせてほしいということでした。
しかし、得票は前回を大幅に減らしました。日弁連では現職の会長の立候補は初めてのことで異例ですが、知事選などでは実績を示せる二期目が一番強いと言われています。しかしながら、最も激しく宇都宮候補を攻撃していた森川候補の得票も含めた反宇都宮候補は1万3000票を超え、事実上二期目を狙う現職に会員がノーを突きつけた結果になりました。
(もっとも批判票でも森川候補は全く立場は違いますが・・・)
二回戦は山岸候補と宇都宮候補の一騎打ちになります。地方会では宇都宮候補が単独過半数を得た単位会もありなかなか根強さを持ってはいます。
しかし、二年前の宇都宮候補への期待感のような風は吹いておらず、尾崎候補と山岸候補が単独で1位を獲得した単位会は14と前回の山本候補よりはるかに多いですし、二人の単位会での得票を足すとそれだけで宇都宮候補の得票を上回る単位会のうち、あと4つを獲得できれば18に届きます。中には、山岸20、宇都宮20、尾崎19という三つ巴で接戦のところも次回は一騎打ちです。単純合算して勝てると想定すれば優に25を超え30に迫るほどになります。
もっとも投票行動は単純な机の上の計算のようにはいきません。また森川票の動向も見逃せません。
しかし、賢い有権者がエンドレスのある今の制度の不備から早期に逃れるためには、山岸候補と尾崎候補を支持した皆さんが一緒に山岸候補を応援し、18単位会の壁をクリアーさせるという選択しかないというのが二回戦ではないでしょうか。
逆に山岸候補と尾崎候補の得票合計数である11276票を、6608票の宇都宮候補が超えることは普通には考えにくいのです。あくまで日弁連会務を停滞させてもエンドレスに持ち込みたい現職会長がいるとしたら、それは日弁連のことを考えてのことでしょうか。
私は疑問に思います。