法曹にとって重要な「聞く力」 ~横田最高裁判事のご挨拶から~
中央大学法科大学院の今年度司法試験合格者の祝賀会が
市ヶ谷のホテルグランドヒル市ヶ谷で開催された。
昨年度は202名と大学別では最多数の合格者を出すことができたが、
今年度は残念ながら177名に後退し、その座を東京大学に明け渡した。
しかし、150名余に及ぶ合格者が出席し、
福原紀彦学長の式辞、横田尤孝最高裁判事、小貫吉信最高裁判事の祝辞など
伝統校の重みを感じさせる祝賀会であった。
式辞を述べる福原学長
横田判事は、私の修習生時代の検察実務修習指導担当の恩師であり、尊敬する先輩である。
横田判事は、合格者に対するごあいさつの中で、
法律実務家の重要な能力として、「聞く力」の大切さを話された。
「読む力」「書く力」は、起案などで鍛えられ、
「話す力」はプレゼンテーションなどの訓練などもある。
しかし、「聞く力」の重要性は意外と意識されていないのではないか。
「聞く」のほかに「聴く」「訊く」も同様である。
ポイントは「心を空っぽにして予断を持たず相手の話に心を傾ける」ことである。
そして、相手が自分を信用し「すべてを話してくれる関係」は
つまるところ人格を磨くことによって培われるものであるということである。
弁護士はえてして自分の知識や能力を過信し、
ある事実から予断を持ってヒアリングの場に臨むことが多い。
長年実務に携わってきた自分でも
まだまだ「聞く耳がどれくらい大きいか」を日々検証して
研鑽に励む必要があると感じた次第である。