5月、青葉が沁みる京都の街を散策した。
混雑を避け、京都大学の近くの吉田山に登る。
兼好法師の生家である吉田神社、そして三高寮歌の歌碑。
ここまでは案内図や観光マップにのっている。
そして、家内とどちらから降りようかと相談していたときに
文学を愛好する(勝手な推測)若き女性が歩いてきて、
茶屋ですか?あちらですよと、指をさして教えてくれた。
その先には「茂庵」(MO-AN)という年代を経た木造の瀟洒な茶屋があった。
入り口もまた雰囲気がある。
二階に上がると十数人の客が静かに思い思いの場所で珈琲等を味わっている。
初老の夫婦あり。雑誌に目を落とす独りの青年あり。
街の喧騒とは全く無縁の落ち着いた世界だ。
周りは新緑の季節、緑が美しい。
木の柱に窓枠と戸もガラス戸ではあるが
格子で紙を張れば障子戸になる素材で作られていて、
見晴らしのためにガラスをはめ込んである。
私たちが座った場所からは西山が一望。
正面に見えるのは愛宕山、右下には高尾山、衣笠山と続き
大文字焼の日には大の字が正面に見えるという。
タクシーの運転手さんにお話しすると
「そうですね。本当に穴場ですよ。」とのこと。
大いに納得し、これだけでも京都に来たかいがあった、
また京都に来た時は行きたいと思えた。