宝塚歌劇団が100周年を迎え、4月5日に記念式典が行われた。
宝塚音楽学校が昨年100周年、劇団が1年遅れての100周年である。
今年の宝塚音楽学校の合格者は102期生、
連綿と続く宝塚の100年の伝統は、フランスパリのレビューを取り入れたり、
日本もののお芝居を洋楽でのミュージカルに仕立てたり、
歴史の中でさまざまな試みに挑戦しながら手堅いファン層を獲得し、
伝統の中で培われた宝塚独特の様式美を創出し、
今や世界に誇る日本の伝統文化の地位を占めている。
さて、こんな100周年にあたり、式典の前日の4日と翌日の6日、
三回にわたり、宝塚大劇場で記念公演が行われた。
「宝塚歌劇100周年夢の祭典」「時を奏でるスミレの花たち」である。
宝塚大劇場は東京宝塚劇場より約480席多い2550席で
日本では最大級の劇場である。
それでも三回あわせて7650名しか直接観劇することができない、
そして何よりも100年に一度の夢の祭典である。
こんな公演を、たまたまチケットをまわしてくださる方がいる幸運に恵まれて、
観劇することになった。
出演者は八千草薫、寿美花代、有馬稲子、眞帆志ぶき、浅丘雪路、榛名由梨、
鳳蘭、安奈淳、麻実れい、大地真央、遥くらら、黒木瞳、涼風真世、真矢みき、
和央ようか、安蘭けい、春野寿美礼ら宝塚ファン以外にも知られている歴代トップスターたち、
さらには私がこの30年のなかで特に応援したいと思った娘役トップスターの、
紫とも、渚あき、花總まり、檀れい、陽月華、桜乃彩音、野々すみ花の皆さんを始め
100人近い歴代トップスターが三回の公演のどれかに勢ぞろいした
圧巻の舞台であり、まさに世紀の祭典であった。
100年前に演じられた桃太郎を題材にしたドンブラコのダイジェスト版が
当時の楽譜をもとに轟悠ら、専科と組子の現役生によって演じられたが、
100年の出発点にして劇中歌など、ミュージカル仕立てに仕上がっており、
若年者によって演じられた少女歌劇といいながら
出発点から一定レベルの水準にあったからこそ、
現在に続く歴史を作ることができたのだと納得したお芝居であった。
さらには、現役5組のトップコンビの勢ぞろいもあり、
真矢みき司会によるトークを間にはさみながらトップスターの歌う名曲のオンパレード、
和央ようかの「NEVER SAY GOODBYE」、
杜けあきの「花に散り雪に散り」(「忠臣蔵」より)、
一路真輝の「最後のダンス」(「エリザベート」より)、
高汐巴の「琥珀色の雨にぬれて」、
榛名由梨の「さよならは夕映えの中で」(「風と共に去りぬ」より)、
眞帆志ぶきの「アマール・アマール」など、
懐かしい名場面を彩った30曲ほどの名曲が続くステージでした。
私としてちょっと残念だったのは、大地真央の出演は4日限り、
ガイズ&ドールズの名曲を聴くことができなかったことである。
客席は総じていつもの宝塚劇場より、年配者が多く、
長年のファンのオンパレードという雰囲気で
100年に一度の感激を味わえた一日であった。