2018年01月31日

不滅の棘

梅田芸術劇場に続き、
宙組 愛月ひかる主演「不滅の棘」が1月23日~29日の一週間、
日本青年館ホールで上演されました。
2003年に花組 春野寿美礼の主演作品の再演でもあります。

何より、前作品「神々の土地」のラスプーチンという
これも難しい役から一転300年を超える命を与えられた主人公を
愛月ひかるがどのように演じるか興味が持たれましたが、
真っ白な舞台に永遠の生命という現世のものとは思えない透明感を保ちつつ、
かつ舞台上の強烈な存在感を残してこの難しい役柄を演じきりました。

東京弁護士会宝塚歌劇愛好会では、
この公演について愛好会会員のみならず幅広くご案内をしたところ、
多くの方が観てくださいました。
そして観劇した方からメールで私のところにかなりの数の感想が寄せられました。
「迫真の演技に泣いてしましました。」
「人間の不老不死への願いの愚かしさ、限られた人生の素晴らしさを謳った深い哲学的な作品、感動致しました。」
「役者さん、特に愛月ひかるさんの透明感、美しさはスゴイですね」などなど。
その後「今まで観た宝塚の作品の中で最もよかった」と
繰り返しお話しする男性会員がおられたということも耳にしました。
近年に奥様を亡くされ、この作品を観ながら、
有限の生命の尊さをどのように感じられたのか、切ないものを感じます。

四世代にもわたって法廷で争われている事件の物語でもあることから、
観劇した弁護士の中には原作である
カレル・チャペックによる「マクロプロス事件」を読んでみたいと思われた方もおられたようです。
一幕の進展は、観客に対してはすべて思わせぶりで、
観客の中には謎解きというか、流れの理解に苦しむ向きもあるようでしたが、
二幕の最後で、
一幕の経緯も含めてすべて爆発的に作品のメッセージを届けながら解決するという
推理小説に似た手法も、最後の愛月を中心とする好演・熱演で成功しているように思います。

1月はこの「不滅の棘」に加えて、
私は、自身の学生時代を重ね合わせて身震いした「ロベスピエール」と、
ロミ・ジュリの流れを汲む名作「ウエストサイドストーリー」と、
三作品に同時にめぐり会い、
その中で、作品を巡り出演者のみなさんとも作品について語り合う機会を得て、
濃密に宝塚歌劇にかかわった1か月でした。

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